クリニックレコーズヒストリー

クリニックレコーズは1995年、
学校の同級生だったDJ KEMCO、RYOONO、BEEPMANに
KEMCOのバイト仲間だったDJ JARECOを加えた4人により結成された。

「カッコイイ・カッコ悪い」「上品・下品」「清潔・不潔」「信頼感・不信感」など、
相反するイメージを併せ持つ「クリニック」という言葉が
自分達の音楽性に合っていると思い、レーベル名を「クリニックレコーズ」と名づけた。

さらに、KEMCOの勤める会社の同僚だった美少女DJ NUMを加えた5人で
神楽坂のライブハウス「KAGURAZA」にて旗揚げイベント「美少女大集合」を行う。
このときの集客は11人。15万円の赤字。

その後、当時流行していた「ゲーマーズナイト」へのクリニックからの返答
クソゲー・クラブナイトイベント「ファミッ子大作戦」を開催。
フロアにファミコン数台とKEMCOの集めた「クソゲーカセット」を設置したところ、
お客さんはステージそっちのけでゲームにのめりこむという有様に。
このとき思いつきで結成した臨時ユニット「スペランカーズ」が
後々のクリニックレコーズを支える看板アーティストに成長していく。
(このライブでの「チクワ投げ」パフォーマンスは伝説になっている。)

2回の自主イベントの失敗により、クリニックとしての活動は少なくなり、
スペランカーズとして他人のイベントへの出演回数が増えていく。
また、この頃からDJ JARECOが「キューティ」というクラブイベントに参加し
CAVE、clubASIAなどの箱でDJの腕を磨いていく。
(後にRYOONOもBSVA名義でVJとして参加する。)

「キューティ」などで得たコネクションで出演者を集め、
久しぶりの自主イベント「おもしろビデオレター」を開催。(渋谷ROCKWEST)
このイベントに参加したライブアクト「FU MIDISYSTEM」は一夜にしてブレイク。
様々なイベントからひっぱりだこの人気者になった。
スペランカーズはこのとき、おそらく日本インディーズ史上初となる「映像同期ライブ」を披露。
さらにライブ中にKEMCO監督第一作となる自主制作映画「こちら泌尿器科」を初公開。
あまりにも現実離れした演出に、観客の度肝を抜いた。
さらに、お客さんも交えてのカウントダウンにより、スクリーン上に
クリニックレコーズのマスコットキャラとなる「クリティくん」を初公開。
イベント最後にはスタッフ全員と観客でTKプロデュースの偽善ソング
「ユー・アー・ザ・ワン」を合唱するというオマケ付き。
あまりの内容のバカバカしさから、このイベントは伝説となった。

この頃、スペランカーズのファーストアルバム「アイレム」が話題になり、
雑誌「クイックジャパン」誌上にて「ナードコア」と呼ばれる
ネタものサンプリングをしているインディーズテクノユニットらと並んで紹介される。
(DJ急行・レオパルドン・カラテクノ・シャープネル・DATゾイド・全日本レコードなど)
この雑誌をきっかけにそれらのユニットと親交を持ち始める。

当時勢いのあったナードコアシーンを代表するイベント「アーケードアタック」に
スペランカーズがライブ出演。
ここで「映像同期ライブ+ハーフタイムショー(短編ムービー)」というライブ形式が定着。
ナードコアファンにも好意的に受け入れられた。

その後、大学生の伝統的な音楽サークル「CRJ-tokyo」の主催するイベント
「SPEEDBALL」にスペランカーズが参加するなど、
テクノシーン以外のおもしろ音楽好きにもファンの輪を広げていく。
(CRJのフリーペーパー「LINK019」によるインタビュー記事はこちら
 今見ると凄まじいメンツに囲まれている!!!)

一回目に比べ、確実にファンを増やし波に乗った状態で
「おもしろビデオレター2」を開催。
イベント中に新人バカディーヴァ系アーティスト「ガーコ」の
オーディション風景、厳しいレッスン風景などのヤラセVTRを流し、
後に彼女の初ライブを行うという過剰なアホアホ演出でウソの感動を作り出した。

「SPEEDBALL」「おもビ2」でのライブが好評を得て、会場となった渋谷DeSeOは
後にクリニックレコーズがイベントを行うホームグラウンドになっていく。

さらに、ナードコアに近い音楽シーン「ガバ」のイベント
「ガバディスコ」にスペランカーズが出演。初の新宿ロフトでのライブを行った。
このときは2ndフロアでのライブだったが、メインで回すスペシャルゲストの外人DJ
ロブ・ジーを裏に、こっちのフロアをギュウギュウにする大盛況ぶりだった。

そしてスペランカーズの2ndアルバム「アイレム2週目」を発売。
今回から業者(ダイキサウンド)を通して全国的に流通することになり、
大手レコードショップ「タワーレコード」から無名アーティストとしては異例の大量注文を受ける。
渋谷店では売り場にファミコン(スペランカー)を設置した大掛かりなPOPが登場し、
新宿店では初回特典として「限定プロモビデオ」を付けるなど、
大規模なプロモーションを行った。
宇多田ヒカル・浜崎あゆみのニューアルバム発売日と重なったこともあり、
その結果スペランカーズの知名度が急上昇。
渋谷店でのインディーズチャートが驚きの7位。
その後も異例のロングランヒットを続けることになった。

この頃、BUBBLE-B(カラテクノ)などで活動するNKZM氏と
JポップでのDJ活動を行うバリサンド氏の主宰するイベント「90年代ナイト」に
DJ JARECOとDJレーザーメスが参加。
二人のDJスタイルはテクノ系→ビッグビート系を経て
JポップDJというスタイルに変化する。

それまで「企画物DJ」「バカDJ」などというジャンルの中で回してきた
DJレーザーメスが新しいコンセプト「中古ギャグの廃品利用」をコンセプトにした
「Re-GAG」というDJスタイルを提唱。
主にワゴンセールなどの中に埋もれて熟成されたギャグトラックを
踊れるようにDJミックスするという趣旨のもの。
DJレーザーメスMIXを皮切りに、同名のDJMIXCDのシリーズを開始する。

さらに、イベント「バードマン」でのDJレーザーメスのプレイでは、
おそらく史上初と思われる「映像同期DJ」を披露。
曲の内容に合わせて事前にイメージクリップを作り
曲と同期させてスクリーンに映し出すというもの。
このときのお客さんの反応は、ただひたすら唖然。

「90年代ナイト」を発展させたイベント「EXPOP」を
ジェームス小野田氏(元米米CLUB)、サエキけんぞう氏(元パール兄弟)、
ギュウゾウ氏(電撃ネットワーク)という超スペシャルゲストを迎えて開催。
「JポップDJ」という可能性の先端部分に手が届いたようだった。

さらに、今後
コモエスタ八重樫氏(東京パノラママンボボーイズ)、王様氏(日本語直訳ロック)
をスペシャルゲストに迎えての「EXPOP2nd」の開催や、
「EXPOP」をもっと気楽にした形式でクリニック初のレギュラーDJイベントとなる
「ワゴンスタイル」をスタートさせるなど、JポップDJという
未知のおもしろ分野を切り開いていく。

最後に、クリニックレコーズは
「人のさらに上を目指すのではなく、誰もやらない事でいきなり頂点を目指す。」
びっくり日本新記録のような、そういうレーベルである。

クリニックレコーズ年表

1995
・クリニックレコーズ結成
・CD「クリニックレコーズコンピレーションCDvol.1」(「ぢ」)発売
・イベント「美少女大集合」@神楽坂KAGURAZA
 出演:発汗PLANET(JARECO)・ザザエ3(KEMCO)・DJレーザーメス(KEMCO)
     MAN THE SPIN BLAST(BEEPMAN)・DJ NUM・TBC(VJ/RYOONO)

1996
・イベント「ファミッ子大作戦」@渋谷GIG-ANTIC
 出演:スペランカーズ・MAN THE SPIN BLAST(BEEPMAN)・DJ JARECO・TBC(VJ/RYOONO)
 ※:このとき臨時ユニットとしてスペランカーズを結成。
・渋谷clubASIAにてオーガナイザー水谷氏のイベントにクリニックメンバーがごっそり参加。
 出演:ザザエ3featRYOONO(RYOONOが初めてダンサーとしてパフォーマンス)
     DJ JARECO・BEEPMAN・ディップスイッチ

・clubASIAセカンドフロアにてJARECOとBEEPMANがDJ。
 ※:このときなぜか客として「P-MODEL」メンバーの福間さんがいた。ビックリ。

1997
・イベント「テクノドライブ」@渋谷サイクロンにスペランカーズが出演
 出演:ディスコロマンス・ベースクラブ(CCライダーら)・マッシュルームズ・サイバークレイジーボイス
・「キューティ」@渋谷CAVE開始。DJジャレコが参加。

1998
・イベント「スラッシュテクノグランバザール」@高田馬場ARIAにスペランカーズが出演
 出演:ディスコロマンス・FU MIDISYSTEM・ステレオ(CCライダーら)
 ※:このライブの模様は、スペランカーズのアルバム「アイレム」に収録されている。
・スペランカーズ1stアルバム「アイレム」発売
・「キューティ」はclubASIAに会場を移し、さらに大規模なイベントに発展

1999
・雑誌「クイックジャパン」ナードコア特集号にクリニックレコーズが掲載される
・イベント「おもしろビデオレター」@渋谷ROCKWEST
 出演:スペランカーズ・BEEPMAN・FU MIDISYSTEM・ディスコロマンス・CCライダー
  VJ:BSVA(RYOONO)・R-A・ASTERIX!他

・イベント「アーケードアタック」@新宿ロフトプラスワンにスペランカーズが出演
 出演:急行・松本・ジークジオン・セーラーチェンソー(VJ)他
・「キューティ」@渋谷clubASIAにスペランカーズとしてライブ出演
・イベント「SPEEDBALL」@渋谷DeSeOにスペランカーズが出演
 出演: Metro Fravor・ Pre Modelo・ Color Filter・ 4.4.他

2000
・イベント「クラッシュディスコグランバザール」@秋葉原GOODMANにスペランカーズが出演
 出演:ディスコロマンス・FU MIDISYSTEM(VTR参加)・ステレオ(欠席)・DrumElectrics・ハイビスキャス・KOMABA
・イベント「おもしろビデオレター2」@渋谷DeSeO
 出演:スペランカーズ・ディスコロマンス・FU MIDISYSTEM・ガーコfeatRYOONO
     BEEPMAN・TOMOKO・DJ JARECO・DJ レーザーメス(ラウンジDJ)

・イベント「ガバディスコVSユーマノイドタイフーン」@新宿ロフトにスペランカーズが出演
 出演:全日本レコード・スマイルハンターズ・シャープネル・レイバーズプロジェクト・
     ロブジー・急行・チャッキー・カワシマ・他

・イベント「愛モード」@新宿ロフトにスペランカーズが出演
 出演:Hz(秋本きつね他)・レオパルドン・カラテクノ
・イベント「スピードありなみんアップップ!!」@渋谷DeSeOにスペランカーズ出演
 出演:ホンダレディ・やのけんたろう・ANDRIEW・最鋭輝・他
・イベント「90年代ナイト」にDJジャレコが参加。後にDJレーザーメスも参加。
 主な参加者:BUBBLE-B・バリサンド・スマイルハンターズ・AV幼稚園・レオパルドン等
・スペランカーズ2ndアルバム「アイレム2週目」一部ショップにて発売開始

2001
・スペランカーズ2ndアルバム「アイレム2週目」全国流通開始
・イベント「バードマン」@渋谷ROCKWESTにJARECO&レーザーメスが参加
 ※:レーザーメスは初の映像同期DJ。
 出演:レオパルドン・スマイルハンターズ・イオ・DIE・sakura(VJ)他
・イベント「ガバディスコ」@新宿ロフトにスペランカーズが出演
 出演:スマイルハンターズfeat今来た加藤・レイバーズプロジェクト・DJシャープネル・
      DigitalBoy&MC Rage・急行・チャッキー・カワシマ・他

・イベント「ステーキナイト」@新宿ロフトにJARECO+KEMCOでDJ・VJとして参加
 出演:髑髏首・IN-HI・FULLMONTY・BROWN BAGGER・レオパルドン・DJ SHARPNEL・
     AV幼稚園・RAVERSPROJECTS・急行・他

・イベント「EXPOP」@吉祥寺スターパインズカフェにJARECO・レーザーメスが参加
 出演:ジェームス小野田・ギュウゾウ・サエキけんぞう・BUBBLE-B・バリサンド・SAKURA(VJ)
・イベント「最高大会議」@新宿ロフトにスペランカーズが出演
 出演:レオパルドン・AV幼稚園・全日本・ホンダレディ、ノーボトム(底抜けエアライン)
     ディスコロマンス・レイバーズプロジェクト・パリッコ・天誅・他

・「Re-GAG」シリーズ始動(CDvol.1:レーザーメスMIX・videoRe-GAG発売)

2002
・イベント「EXPOP2nd」@吉祥寺スターパインズカフェにJARECO・KEMCOが参加
 出演:コモエスタ八重樫・王様・BUBBLE-B・バリサンド・Warp&Warp(VJ)
・J-POPDJイベント「ワゴンスタイル」@渋谷DeSeO
 出演:スペランカーズ(ライブ)
     KEMCO・JARECO・BUBBLE-B・バリサンド・あかなめ・少女記号チーム・ENJO-G(司会)
・イベント「最高会議」@六本木COREにスペランカーズが出演(ミニライブ)

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